石川県は江戸時代に加賀百万石の文化が開花しました。今も伝統工芸や伝統文化は受け継がれています。
石川県には全36種の伝統工芸があります。
国が指定の伝統工芸(10種)
九谷焼
石川県加賀市で誕生した陶磁器です。JAPAN KUTANIと呼ばれるほど、世界的に有名な伝統工芸品となりました。
九谷焼の特徴は、さまざまな色絵装飾(上絵付)です。五彩(緑・黄・赤・紫・紺青)という華やかな色合いが有名で、時代や地域によって作風が変わります。豪快な「古九谷風」、赤塗りで人物を描く「木米風」、花鳥山水を描いた彩色金欄手で有名な「庄三風」などがあります。
輪島塗
輪島でとれる「地の粉(じのこ)」を下地に塗り、何度も漆(うるし)を塗(ぬ)っては研(と)ぐことによって、丈夫(じょうぶ)な仕上がりとなります。
輪島塗の特徴は、輪島特産の珪藻土の一種である「地の粉」を漆に混ぜて繰り返し塗る本堅地技法や、木地の上縁に生漆を塗る「地縁引き」などの丁寧な手作業による丈夫さです。何度も漆を塗っては研ぐことによって、使いこむごとに美しくなります。
加賀友禅
加賀友禅の特徴は、「加賀五彩」といわれる燕脂、藍、黄土、草、古代紫の色を基調にして描かれる草花や風景など自然の美しさを描いた模様です。
山中漆器(山中塗)
山中漆器の特徴は、美しい木目を目立たせたデザインです。「縦木取り」「加飾挽き」「うすびき」という技法があります。特に木地に極細の筋を入れる加飾挽きが山中漆器の一番の特徴です。
山中漆器は豪華な蒔絵を施した茶道具が有名です。特に棗(なつめ)の制作には定評があります。
金沢箔
石川県は金箔が有名です。金沢箔の特徴は、金の輝きを保ったままに1万分の4mm以下の厚さ、10円玉ほどのものを墨1枚の広さにまで均一に広げる職人技術にあります。
また、金沢は金箔の国内生産の98%以上を占めるといわれています。
金沢漆器
金沢漆器は大名のための伝統工芸品として生まれました。美術工芸品といった趣向が強く、調度品や茶道具が作られており、堅牢な塗りと、繊細な加飾が特徴の「加賀蒔絵」として知られています。
金や銀の粉で仕上げる蒔絵で、ほかに類を見ない品位の高さや、華やかな美しさがあります。
金沢仏壇
金沢仏壇の特徴は、蒔絵の美しさです。金箔を多用した加飾のため、「蒔絵仏壇」とも呼ばれています。
木地、彫刻、加賀彫りの金具、障子の紗生地、金糸の刺繍、蒔絵に施された象牙、青貝の象嵌と専門の職人が各部分を作り、最後に集め組み立てます。
七尾仏壇
七尾仏壇の特徴は、堅牢な作りです。能登の農家向けに生産されてきました。扉は何層式にも折られる大型のものが作られています。
運搬の際に楽な解体できる「柄組み」という技法も備わっています。
加賀繍
加賀繍(かがぬい)の特徴は、美しい絵模様を作る刺繍の技術です。一針ごとに縫っていく加賀繍は、金糸・銀糸などを多用し、気品にも溢れ、美しいです。
模様が生地の表裏とも同じため、補修が容易であることも特徴です。
牛首紬
牛首袖(うしくびつむぎ)の特徴は、太い絹糸で織る丈夫な織物です。釘に引っ掛けても反対に釘が抜けてしまうといわれているほど丈夫であり、別名「釘抜紬」と呼ばれています。
2匹の蚕が入っている「玉繭」から直接糸を引き出して製糸する織物は、普遍的な美しさがあります。
県が指定している伝統工芸(6種)
珠州焼
珠州焼の発症は12世紀後半から15世紀にかけて珠洲で生産された中世日本の焼き物のひとつです。長らく途絶えていた珠洲焼を昭和51年に復活しました。
粕薬を使用せずに、穴窯で焼き締める技法を用いています。珠洲の土は鉄分が多いため、1200度で焼くと薪の灰が溶け、それが自然の粕薬となり、渋い黒灰色となります。
加賀毛針
加賀毛針(かがけばり)は、鮎釣りの擬似餌として原材料に野鳥の羽毛を使用した毛針です。その接合部分には漆や金箔を施され、美しさが表現されていました。
また、丈夫で機能性にも優れており、1つの毛針で100匹の鮎が釣れると言われています。
美川仏壇
美川仏壇の特徴は、漆を何層にも塗り固めた堅牢なことにあります。特に型を用いて立体的な紋様を施す「堆黒」の技術は他産地には見られません。
秋田ヒバや、イチョウを使った太くて丈夫な木割や錆地による堅牢な下地塗をもとにさまざまな独特の技法が使われています。
桐工芸
金沢の桐工芸は蒔絵加飾が特徴です。美しい木目に鮮やかな蒔絵を施している工芸品は他県の桐工芸と比較して珍しいものです。
耐湿・耐火性に優れている桐の特性を生かし、桐火鉢や灰皿などが生産されています。